油山市民の森からのお知らせ

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2020/11/13 きのこ豆知識
ニガクリタケ(苦栗茸)


■時期
場所によっては一年中見られ、ごく普通に観察できるきのこです。
■生える環境
木の根元、倒木などからたくさん生えてきます。(広葉樹、針葉樹、中にはウッドチップから生えているものもあります。)

特徴
傘は、まんじゅう型からほぼ平らに開くが、中央はときにもりあがったり、尖りを表す時があります。傘の表面は平滑で硫黄色、レモン色、黄色など生息する環境によってさまざまです。中にはクリタケの色に似ているものもいます。直径は、2cmほどの小型のものから、8cm近いものまであります。
↑密集して生えています。

↑幼菌時、中には傘が尖っている個体もあります。

↑成菌、鮮やかな黄色でした。
↑傘の色が褐色のタイプ
柄は、周辺にクモの巣状の皮膜(黒色)の破片が付着するが、脱落しやすく、見かけられないことも多いです。束生(そくせい:柄の基部からきのこが束になって生えること)することが多く、表面はカサと同色で繊維状です。

ヒダは、湾生、上生し密。初め硫黄色で、緑色を帯びた黄褐色となり、成熟すると暗紫褐色になります。きのこ自体に強い苦味があり、弱い薬品臭もありますが、苦味の薄いものや、強い異臭のあるものなどさまざまあります。

猛毒きのこ
ニガクリタケの食中毒事件は、いわゆる「きのこ中毒御三家」のツキヨタケやクサウラベニタケ、カキシメジなどに比べるとあまり多くありません。だからといって見間違える可能性は高いきのこになります。
ニガクリタケの毒成分は熱に強く、焼いたり似たりしても毒成分がなくなることは無いそうです。毒成分は苦み成分でもあるファンキュロール類、ムスカリン類(神経に作用)などですが、むしろ致命的な猛毒物質は苦みとは無関係な成分ではないかと言われ、その実態はまだわかっていません。
食中毒事例
ニガクリタケの中毒症状は、食後30分から3時間ほどで発症し、激しい嘔吐、下痢などの胃腸障害、重症の場合はさらに脱水症状、けいれん、ショック状態、最悪の場合は死亡してしまいます。
<食中毒事例>一部
・1984年9月25日 青森県
夫がとってきたニガクリタケを、夕食ですき焼き風に調理して食べた。食後30分後に発症。翌26日、夫は死亡、妻は翌日から回復に向かった。
・1996年9月9日 岐阜県
キノコを家族5人ですき焼きに入れて食べた。食後二時間から4時間にかけて、5名のうち4名が発症し入院した。症状は嘔吐、下痢など。
・2001年11月15 栃木県
夫婦でニガクリタケとスッポンタケ(可食)、ベニナギナタタケ(可食)を、醤油で炒め煮にして食べた。食後30分後に発症。夫は入院後に急性腎不全などを発症し11月25日に死亡。夫の食べた量はおよそ一握り程度だったという
間違えられるきのこ
・クリタケ(食)※ただし、半生や食べすぎには注意。
クリタケは次週でも紹介をしますが、場合によっては間違いやすいきのこになります。
クリタケのなる木の近くにニガクリタケも生えていて一緒に取ってしまったという話も聞いたことがあります。

・エノキタケ(食)
冬を代表するきのこで、私たちがよく食べている「もやしのような細くて束になったきのこ」の野生版です。野生のエノキタケは、全体的に褐色で柄が黒色もしくは褐色。よく見ると柄にはビロードのように微小な毛がたくさん生えています。

・ナラタケ(広義)(食)※ただし、半生や食べすぎには注意。
ナラタケ思われていたきのこは、複数の系統に分かれていることが分かってきました。このきのこも昔から食べれるきのことして親しまれてきていますが、パッと見はニガクリタケにも似ています。

などなど
これからは「ニガクリタケ(広義)」
一般に「ニガクリタケ」と呼んでいるきのこ。しかし、最近の研究によると少なくとも2種類存在していることが明らかになりました。
ひとつは、Hypholoma fasciculare(ニガクリタケ)
もうひとつは、Hypholoma subviride(日本未報告種)
そして、これからも、複数の種類が見つかるかもしれません。
さいごに
晩秋に山を上っていた時のこと。落ち葉のすき間から小さなたまごボーロのようなきのこがこちらをみていました。その姿はとてもかわいらしく、ちょっとさわってみると、秋風に当たったからかひんやりしてて冷たかったです。ニガクリタケって、毒キノコだけど、お菓子みたいでかわいいときがあります。でも、一歩間違えると人が死んでしまう恐ろしいきのこ。食べないように気を付けながら、きのこ探しを楽しみたいですね。
参考
「原色日本新菌類図鑑」(今関六也、本郷次雄編著 保育社)
「山溪カラー名鑑 増補改訂新版 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「カラー版 きのこ 見分け方 食べ方」(清水大典、伊沢正名著 家の光協会)
「北陸のきのこ図鑑」(池内良幸著 橋本確文堂)
日本のきのこ(山と渓谷社 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編解説)
くらべてわかるきのこ(山と渓谷社 吹春俊光 監)
「日本産 Hypholoma fasciculare( ニガクリタケ ) の 分類学的再評価」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/msj7abst/57/0/57_12/_pdf
きのこびと
https://kinokobito.com/archives/2060

製作協力/DogaLABO
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