油山市民の森からのお知らせ

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2021/08/06 きのこ豆知識
ヒトクチタケ(一口茸)【追記】


■生える時期
4月から10月くらいまで観察することができます。(場所によっては一年中形が残っていることもあります)
■生える環境


■特徴
ヒトクチタケは傘の大きさが2センチから5センチ程度、全体はクリの実に似て丸い。傘の表面はニス状の光沢があり、湿っけているとノリみたいにペタペタします。

さわった手には薄い皮が付着することもあります。

肉はほぼ白色で革質。下面は厚い皮膜で包まれていて、幼菌のときは厚い皮膜でおおわれたままですが、成長するにつれて楕円形の穴が開いてきます。穴の大きさは、3ミリから6ミリぐらいです。
↑成長の比較
↑断面の様子。幼菌の時、下の(穴が開く部分)皮はぶ厚くきのこ全体に強い弾力がありますが、成長するにしたがって皮は薄くなり、穴が開いてきます。
↑管孔の様子。幼菌の時は真っ白でどこに管孔が作られるかわかりませんが、成長してくるとだんだんきつね色になり、最終的には焦げ茶色になります。ちなみに、幼菌の時、独特の臭いはあまり感じられませんが、成熟すると臭いは強くなります。
↑管孔の拡大写真(成熟個体)
小さな穴が沢山あって、その穴から胞子が出ています。成熟してくると焦げ茶色となりコルクのように硬くなります。


↑管孔の断面(成菌)
管が伸びている様子が観察できました。


きのこ自体はすごくにおいが独特で強烈です。人によっては魚の干物臭、松脂のようなにおいと例えられることがあります。ちなみにきのこちゃん的にはビニールテープのようなにおいがしたそうです。


■菌食性昆虫とヒトクチタケ
きのこの観察をしていると、さまざまな昆虫たちも見られることがあります。特に、ハラタケ類(シイタケやエノキタケ、ベニタケなど)やサルノコシカケ類、スッポンタケ類などの担子菌類は、ハエ目やチョウ目、コウチュウ目など様々な昆虫を観察することが出来ます。
そして、ヒトクチタケもその一つ。ヒトクチタケを利用している昆虫は数十種いると言われており、特にカブトゴミムシダマシやオオヒラタケシキスイなどの甲虫はヒトクチタケ以外ではほとんど見ることができないそうです。

ちょっと失礼して、ヒトクチタケのお部屋をのぞいてみました。
今回はオオヒラタケシキスイが入居していました。

■菌食性昆虫とヒトクチタケの謎
ヒトクチタケはマツが枯れると真っ先に生えるきのこと言われており、とくにマツを住みかとする甲虫類がこのきのこの生活に関係しているのではないかと考えられています。甲虫類はマツの樹皮の内面に孔道をつくって産卵します。幼虫は孔道内で成虫となり、樹皮を中から貫いて外にでていきます。ヒトクチタケはこの脱出孔を通して子実体を樹皮面に形成するので、傘の付け根には脱出孔の太さぐらいの柄を確認することが出来ます。

しかし、ヒトクチタケが宿主であるマツにどのようにして入ってくるのかはまだわかっていません。脱出孔から入るのか、または虫がマツに入ってくるときにヒトクチタケの運び屋になっているのか、または別の方法で侵入してくるのか…。まだまだ分かっていないことが多いきのこなのです。
■名前の由来
この写真を見てみると、
「なぜ、クリの写真?」
と思われる方が多いと思います。しかし、よく見てください。栗の中にヒトクチタケが一つ紛れています。

ヒトクチタケの漢字は一口茸。外見もクリに似ていてそれは、もう、おいしそうで一口で食べれそうな感じですが…残念ながら食べることはできません。
ヒトクチタケは、成長するとひとつだけ穴が開きます。その様子から“一口茸”として名前がつきました。

■さいごに
松林を歩いていると、どこからともなく嗅いだことのある強烈なにおいが周辺に漂っていました。匂いのする方向へ足を進めてみると、かわいらしいヒトクチタケが生えていました。しかしよくよく考えてみると松林が少なくなっている今、このきのこも将来的には珍しいきのこのひとつになるのかもしれませんね。今は普通のきのこでも、今日の出会いは大事にしておこう。と感じた瞬間でした。
■参考
原色ワイド図鑑 海藻・菌類(株式会社学習研究社)
原色日本新菌類図鑑?(保育者 今関六也、本郷次雄編著)
日本のきのこ(山と渓谷社 今関六也、本郷次雄、大谷吉雄編解説)
木材腐朽菌キノコの鞘翅目昆虫群集の組成と構造(説田健一 京都昆虫学会編)
製作協力/DogaLABO
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