油山市民の森からのお知らせ

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2021/03/05 きのこ豆知識
ヒラタケ(平茸)


時期
秋の終わりから春の初めまで(福岡県は10月から4月ごろまで見ることができます)
寒い時期、雪が降るような時期にもでることから「寒茸(かんたけ)」とも呼ばれています。地方名も多く、古くよりヒトとのかかわりが深いきのこの一つです。
生える環境
腐生菌で、木材を分解する力が強く、主に広葉樹の朽木に重なり合って生える大型のきのこです。時には、針葉樹にも生えていることがあります。比較的栽培しやすいきのこでもあることから、人工栽培もされています。

■特徴
傘の大きさは、5センチから15センチ。時にはそれ以上になることもあります。冬場に出るきのこということもあり、発見される際はカチコチに凍っている場合もあります。
↑カチコチに凍ったヒラタケはとてつもなく硬いです。きのこ自体も凍ったことにより多少大きくなっています。
幼菌のときは、株立ち状もしくは束生状、単体で生えていることもあります。
↑典型的な幼菌の姿です。
傘の色は環境によって差があります。(写真は黒褐色の個体と白っぽい個体が一緒に生えている様子です。)

柄はほとんどが偏心生ですが、まれに中心生になるものもいます。全体的に白色で、基部には白色の毛が密生しています。

↓中心生のヒラタケ。まるでエリンギのような形でびっくりしました。
↓断面はコチラ。(一番下に置いてあるのが中心生ヒラタケです。)

ヒダは、やや密で白色から灰白色、古くなったりすると黄色味を帯びます。

肉質は弾力があり白色です。

まれに「ツキヨタケ」という毒のあるきのこと間違えられることもあり、十分注意をする必要があります。
■歴史
ヒラタケは平安時代からマツタケと並んで好まれていたきのこで様々な書物にて登場しています。※物語は短めに省略しています。
□「宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)」
昔々、丹波の篠村はヒラタケがよく採れていました。しかし、ある年の終わりごろ村に住んでいる何人もの人たちが、お別れの挨拶をしに来た法師の夢を見ました。翌年の秋、ヒラタケは全く見当たりませんでした。その後、この村に仲胤僧都(ちゅういんそうず)という説法の大変上手な徳の高い坊さんがおいでになりました。
「行いや心が不浄のまま人に説法した法師が、ヒラタケに生まれ変わるという事があるのですよ」と言われました。
□「今昔物語」
前出のツキヨタケの頁では、老僧を殺そうとワタリ:和太利(ツキヨタケ)をヒラタケと偽って食べさせようとして失敗した話などもその一つです。ほかには、「谷に落ちた国司(藤原陳忠)がヒラタケを抱えて上ってきた話」などが有名です。
その他にも、「平家物語」や「古今著聞集」などにも記載されています。
■ヒラタケ白こぶ病
ヒラタケ白こぶ病は、1978年に島根県、ほぼ同時期に中国地方、九州地方で発生が確認されました。その後、1995年までには西日本一帯、新潟県、長野県など、さらには2010年頃には関東・東北でも確認されるようになったそうです。森林内に発生するものや原木栽培されたものなど、野外に発生するヒラタケに被害が見られました。この病気は他にも、ウスヒラタケやエリンギにも発生することがあり、栽培には大きな悪影響を与えています。
□病原センチュウ:ヒラタケシラコブセンチュウ
□媒介昆虫:ナミトモナガキノコバエ

※イラストは、資料を参考の上自分なりに書いてみました。ご参考までに…
■方言集
ヒラタケは古くより様々な人に親しまれてきました。そんなヒラタケですが皆さんは何と呼んでいますか?本や資料に目を通していた時、それはそれは、たくさんの呼び方がありました。その一部をここに書いていきます。
□カンタケ(寒茸)
この名前は、冬きのこである特徴からこの名前が付いています。
□カンナバ(宮崎県)
ナバは九州地方で使われている方言のひとつ
□カタヒラナバ(宮崎県)
片方に傘を平たく広げることから
□エノキナバ(宮崎県)
冬場に猟師が狩りに行った際に持ち帰るきのこで、よくエノキから生えることから
□各地の方言
あおけ(東北地方・秋田県)
おあけ(秋田県)
おわけ(秋田県)
あわびたけ(福島県)
かたはみみたけ(新潟県)
かぬか(岩手県)
かぬがきのご(秋田県)
かのこ(秋田県)
がんたけ(大分県)
くろきのこ(熊本県)
そうじ(熊本)
どんころ(青森県)
ぶなかのか(秋田県)
みずほ(広島県)
むくたけ(和歌山県)
やなぎなばこ(佐賀県)
よのみのき(和歌山県)
わかえ(岩手県・秋田県・長野県)
わがえもだし(青森県)
□ちなみに、海外では「オイスターマッシュルーム」と呼ばれています。
■きのこの出会いは一期一会
きのこ探しをしていると、思わぬ出会いとは突然やってくるものです。
6年ほど前の冬の寒い日の出来事です。森の中に入っていつものようにきのこを探していました。今日はエノキタケ、シイタケヒラタケなど…食べれるきのこを目標に探していると、一本の大きな倒木に見慣れないきのこが生えていたのです。
「ん?青いヒラタケ?」
そのきのこは、見た感じはヒラタケ。ですが、傘の色が薄藍色の一風変わったきのこでした。先ほど採取したヒラタケと比べてみるとこの通り。

残念なことに、このようなきのこに出会えたのはこれっきりでした。一期一会のきのこ。その出会った時間を大事にしなきゃ。と痛感した出来事でした。
参考
「山溪カラー名鑑 増補改訂新版 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「きのこの語源・方言事典」(奥沢康正・奥沢正紀 著 山と渓谷社)
「ザ・高尾2キノコの誘」(畔上能力 著 のんぶる舎)
「見る・採る・食べるきのこカラー図鑑」(今関六也・本郷次雄 監修 小川眞 編著 講談社)
「宮崎のきのこ」(黒木秀一 著 みやざき文庫116)
「北陸きのこ図鑑」(池田良幸 著 本郷次雄 監修)
「きのことキノコバエと線虫の三者関係2012)」(津田格 緒 特集「森の微生物とその運び屋の知られざる関係」
製作協力/DogaLABO
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